京都の健康食品店・代替療法普及センター「黒米母湯の悠悠」がお届けする、健康な暮らしと食生活についての情報です。

トップ » 05)賢い患者になるためのABC・今中孝信先生

オンラインショップバナー

玄米食のすすめ (7)

7. 玄米食と減量
 玄米食が健康食であることに疑いを入れませんが、一部の病人にとっては、治療食にもなります。肥満、太り過ぎのためにいろいろ体の故障をきたしている人たちです。玄米食にしますと、必ずやせます。私はもともと少し太り気味でしたが、玄米食にしましてから標準体重に近づきました。実際に患者さんにも玄米食を勧(すす)めて成功しています。
 患者のAさんは血小板減少性紫斑病という血が止まりにくい病気を患(わずら)っておられます。治療法としては、副腎(ふくじん)皮質ホルモンと脾臓(ひぞう)を取り除く摘脾(てきひ)がありますが、Aさんは高度の肥満と糖尿病のため、どちらも問題がありました。さらに胆石症も伴っています。胆石が原因となり、化膿(かのう)性胆管炎をおこしますと手術もできず、生命の危険さえあります。
 さすがに美食家のAさんもついに観念し、私の勧める玄米食に家族ぐるみで取り組みました。1か月余りで体重は四キログラムも減り、正常の二倍近くもあった血糖は、正常値に近づいています。Aさんは一日中立ってする仕事をされていますが、やせたためにスタミナが落ちたということもなく、元気に仕事を続けておられます。玄米食で無理なく減量できることをAさんは証明しています。
 自分では健康だと思っている人でも、現在以上に健康感にあふれてもりもりと仕事をしたい人。肥満と関係の深い病気、すなわち糖尿病、高血圧、狭心症、脂肪肝、痛風、胆石症などの病気に悩み、現に太り過ぎの人。このような人達に対して、私は自信を持って玄米食をお勧めいたします。三か月続けば大丈夫です。玄米が美味しくなり、健康感が出てくるからであります。
 思い付いたが吉日です。さあ、今日から玄米食に挑戦しましょう。

2005年03月30日 : 12:14 | コメント (0) | トラックバック

玄米食のすすめ (6)

6. 玄米食と気づき
 私は玄米食にしましてから、今まで述べてきたことがらとは違ったことも体験しています。それは、食べ物に対する「気付き」を得られるようになったことです。
 体(からだ)に必要なものを体が知らせてくれ、不要なものは体が求めなくなったのです。甘いものをそれほど欲しくなくなりました。手元にお菓子があるとか、誰かがたべているからというだけの理由でただなんとなく、手を出すことがなくなりました。
 先ほど、玄米食ではカルシウムが不足するといいましたが、そのせいでしょうか、小魚や干物(ひもの)など丸ごと食べられるものが美味(おい)しいのです。肉を初めとして、脂(あぶら)ぎったものが欲しくないのです。やせ我慢ではでもなんでもありません。体が呼ばないのです。いってみれば、自然の摂理(せつり)にそった食生活をしていれば、体のほうからこれを食べなさい、これを食べてはいけませんと教えてくれるように思います。

2005年03月29日 : 12:29 | コメント (0) | トラックバック

玄米食のすすめ (5)

5. 玄米食は生きた完全食
 私なりに、玄米食について考えてみますと、玄米を精米機(せいまいき)にかけずに、丸ごと食べるのがいいのではないかと考えます。
 白米では精白するとき、糠(ぬか)として捨てられた部分に栄養がいっぱい含まれているのです。玄米を水に浸したガーゼの上に置いておけば、発芽してくるだけの力を持っている事を考えれば、納得(なっとく)できます。玄米は生きています。
 私たちの身体は何からできているかといえば、食べ物からできているとも言えます。食べ物が体内で姿・形をかえたにすぎないのです。ですから、甘いものが好きだからといって、甘いものばかりを食べて体を造ることはできません。蛋白質(たんぱくしつ)や、脂肪、カルシウムなどのミネラルも必要です。ところが、食べ物を丸ごと食べますと、いずれもそれなりに完全なものですから、必要なものがすべて含まれていることになります。
 その意味で、玄米食は生きた完全食です。同じことが小魚(こざかな)についても言えると思います。小魚を丸ごと食べれば、筋肉も内臓も骨も食べることになり、必要な栄養分をバランスよく取り入れることができます。
 しかし、小魚といえども生きている時は元気で泳いでいたのです。ある人が、人間は動物植物を含め、生き物を殺して食べて生きているのであるから、食事のとき手をあわせて祈り感謝するのだといっておられますが、まったくその通りだと思います。健康によいからと丸ごと食べるだけでなく、食べ物とした生物の犠牲によって人間は生かされていることを知る必要がありましょう。

2005年03月28日 : 10:22 | コメント (2) | トラックバック

玄米食のすすめ (4)

4. 玄米食の体験的効用
 ところで肝腎の睡眠時間ですが、半分にはなりませんでした。もともと四、五時間の睡眠をさらに短くしようというのは虫が良過ぎたようです。半分に短縮できるのは、八時間以上も寝ている人にいえることのようです。しかしながら、二、三か月も玄米食を続けた頃でしょうが、体(からだ)の変化に気付きました。
 その一つは、気持ちがイライラしなくなったことです。これはお腹(なか)がすかないことと関係があるように思います。玄米は消化が悪く吸収も遅いのです。血液中の糖分が上がったり下がったりする血糖値の変動が少なくなります。血糖値が下がりますと、お腹のすいた感じだけでなく、イライラしたり、冷や汗が出たり、手がふるえたりします。そして、怒りっぽくもなります。ちなみに、太っている人は、低血糖に敏感ですので、このような症状が出やすく、つい甘いものを口にしてしまうのです。身に覚えのある方もいらっしゃるのではないかと思います。
 私は現在、ご飯をいただきますのは朝と昼です。夜は、晩酌(ばんしゃく)を楽しみますのでご飯をひかえています。ちなみに、お酒は米の汁ですし、ビールは麦の汁ですから…。そうしていますと、夕方に空腹を感じることが多かったのですが、玄米食にしてからは、それほどではありません。
 また、外来診察の時、時間が延びて午後二時頃にまでなることもありますが、にこやかに診察を続けることができます。以前は、看護婦さんが気を利(き)かせてくれていました。おなかがすいて私の声が大きくなったり、カルテに書きこむ字が大きくなる頃を見計(みはか)らって、砂糖をたっぷり入れたコーヒーをいれてくれていたのでした。今はその必要もありません。単に、お腹がすかないというだけでなく、余裕を持って仕事ができるようになったと思うのです。
 さらに、玄米食の効用を付け加えますと足が軽くなります。もともと、私は健康のためにできるだけ歩くように努(つと)めていましたが、努力して歩くことがなくなりました。
「さあ、歩こう」と自分に気合を入れる必要がありません。少しオーバーにいえば、足にバネが入って躍動(やくどう)するような感じさえするのです。昔、日本人が白米ばかりを食べていたころ、ビタミンB1不足になり、脚気(かっけ)になりました。脚気になると足がだるく重くなります。逆に考えれば、玄米を食べて足が軽くなるのも不思議ではないと思われます。
 また、寒さにも強くなっています。以前は秋になったら炬燵(こたつ)を出せ、ストーブを出せ、電気を消すと寒そうだから点けておけと家内に言うくらい、寒い寒いといっていたのです。それが、家内がびっくりするほど寒さに強くなっています。
 このようにすばらしい玄米食ですが、これを批判する人もあります。農薬で栽培した玄米では、有害物が糠(ぬか)の部分に含まれ、それをそのまま食べることになるというのです。「そのうちに変な病気が出てくるかもしれないぞ」などと悪友から脅されますが、この二十年間変わったことはありません。
 また、玄米はものを吸着する作用が強く、カルシウム分も大便と一緒に排泄(はいせつ)されるため、カルシウム分の不足をきたし、骨が柔らかくなるという批判です。たしかに物事はすべていいことばかりではありませんが、一部分をとらえて議論するのではなく、大きな立場からみる必要があると思います。

2005年03月27日 : 13:20 | コメント (0) | トラックバック

玄米食のすすめ (3)

3. 玄米食に挑戦
 最初は正直いって美味(おい)しいものではありませんでした。パサパサとして硬い玄米をどろどろになるまで噛(か)むのはかなりの時間と努力を要します。
「もしもし亀よ亀さんよ」という歌がありましたが、まさに「噛めよ、噛めよ」と半ば噛むことを強制された戦時中を思い出しながらの毎日でした。いっそのこと白米に戻そうかという気になったこともあります。しかし、誰彼(だれかれ)となく“玄米食宣言”をした手前、そうも簡単にやめるわけにはいきません。病院でも愛妻弁当として有名になってしまい、「まだ、続いていますね。偉いですね」(なにが偉いのか分りませんが)と励(はげ)まされて、玄米食を続けることができました。
 そのうち、家内が調理法を工夫してくれてから、グ-ンと食べやすくなりました。圧力釜は最初から利用していましたが、炊(た)く前に三時間以上水につけることにより、ずいぶん軟(やわ)らかくなります。ほんのちょっぴり焦(こ)げができるように炊くのもコツのようです。この方法ですと、ご飯が温かいときはもちろん、冷えてからでも粘(ねば)り気があり、餅米(もちごめ)のような感じがします。とっても美味(おい)しいのです。たまに、普通のご飯を食べますと、歯応(はごた)えがなく、頼りないくらいです。

2005年03月26日 : 10:19 | コメント (0) | トラックバック

玄米食のすすめ (2)

2. 玄米食と睡眠時間
 玄米食を私が試してみようと思いましたのは、一冊の本がきっかけでした。小幡玻矢子(おばたはやこ)さんという主婦が書かれた『食って遊んでまだ残る』(サンケイ、1982年)という新書版の本です。愉快な事が数多く書かれていますが、その中に玄米食の話が出てきます。ドカンと一発!快便がえられるとか、汗をかかなくなり下着が汚れないとか、暑さ寒さに強くなるとか、等々。いろいろ書かれている玄米食の効能の中で、私をとらえて離さないものがありました。それは、睡眠時間が半分ですむという話です。
 わたしは、二十年以上前から睡眠時間が五時間前後の生活を続けていますが、日中の睡魔(すいま)には悩まされます。車の運転中でも、睡魔は容赦(ようしゃ)なく襲(おそ)ってきます。特に高速道路では車を止めて一時休憩することもできず、恐怖を感ずることさえあります。こんな状態のとき、玄米食にすると睡眠時間が半分で足りるという耳寄りな話を知ったのですから、試(ため)さない手はありません。早速家内に頼んで玄米食を始めました。

2005年03月25日 : 10:05 | コメント (0) | トラックバック

玄米食のすすめ (1)

1. 玄米食二十年
 私は玄米を食べ始めてから二十年余りになります。玄米というと若い人はピンとこないかも知れませんが、秋になると稲穂に籾(もみ)がつきます。その籾から籾殻(もみがら)を除いただけの状態が玄米です。まったく精白していないお米です。白米に対して黒米(くろごめ)ともいいます。
 玄米食は完全食品と言われます。確かに玄米は生きていて発芽します。しかし、玄米は消化が悪く吸収もよくないのです。また、吸着作用があるためにカルシウムを排出し低下させます。このように玄米もいいことばかりではありません。
 それよりも玄米食を続けていて素晴らしいと思いますのは、足りている成分と不足している成分を身体が教えてくれることです。私は玄米食にしましてから肉をまったく欲しくなくなりました。やせ我慢でも何でもありません。結婚式の披露宴などでは出された肉料理を頂きますが、自分から「たまには焼肉を食べたい」などと思いません。自宅で肉料理を作ったときは、専ら野菜を食べ、肉は子どもたちのほうに回しています。家内が目ざとく見つけて肉を私のほうへ押し戻していましたが、最近は諦めたのか勧めなくなりました。一方で私は小魚が食べたいのです。これは不足しているカルシウム分を補うことを身体が指示しているのだと思います。
 また、私は甘い物が好きですし、コーヒーにたっぷり砂糖を入れて飲みます。玄米食の私を菜食主義者だと思っている人は、不思議なものを見るような目つきで見たり、質問されたりします。これも私にいわせれば、頭を使いますとそれだけエネルギーを消費するのです。頭のエネルギーは糖分から得ていますから、玄米だけでは糖分が不足しているために身体(からだ)が甘いものを要求するものだと思います。ちなみに私は甘いものを食べていますが太らず標準体重をオーバーすることはありません。
 玄米食に挑戦しようかと考えておられる方のために、以下具体的に玄米食について紹介します。

2005年03月24日 : 12:43 | コメント (0) | トラックバック

体験的マスクの効用(3)

 夜、咳が出ることが多いのですが、こんなことがあってからマスクをして寝むようにしますと、咳が軽くなることがわかりました。今では、風邪は治っていますが、暖房によって乾燥している部屋で仕事をするときは、日中でもマスク(木綿ガーゼ)を着用しています。マスクをしますと、自分の吐いた息を再吸入します。呼気の中にはかなりの水蒸気が含まれていますので再吸入することでのどや気管粘膜への加湿効果があるためと思われます。

 ちなみに、インターネットで「マスクの効用」について検索しますと、歯科医師の臼田篤伸氏が「ぬれマスク」の効用を説いておられることを知りました。本も出版されています(『ぬれマスク先生のここがおかしい風邪の常識』 角川書店)。「ぬれマスク」は、1)マスクを水で濡(ぬ)らして軽く絞る、2)マスクの上部1/3を外側へ折り返し、鼻を覆(おお)わずに装着するという簡単なものです。こうすると寝ている間も鼻を覆わないので、息苦しくない。マスクの素材は綿100%がベスト。吸湿性、親水性が高く、アレルギー源にもならない。この方法については、私も試してみましたが有効です。顔がベタついて嫌だという人は、木綿の当てガーゼを縫いつけたナイロンマスクがあります。寝ている間にマスクが外れる人は、耳にかけるゴムを頭の後ろで結ぶといいでしょう。

 いずれにしても、マスクで咽頭から気管を加湿することは、風邪や風邪の予防にかなり効果があると私自身の体験から思います。風邪をひいている方、私と同じような経験をお持ちの方は騙(だま)されたと思って一度試してみてください。 I'm sure it works.

2005年01月26日 : 17:19 | コメント (0) | トラックバック

体験的マスクの効用(2)

日常の挨拶で、「風邪をひかないようにしてください」と互いに言い交わすことが多いと思いますが、はたして風邪をひかないようにできるのでしょうか。一般的な風邪の予防方法としては、温かくする、外出から帰ったらうがいや手洗いをする、過労を避け睡眠を十分にとる、栄養、特にビタミンCをとる、などでしょうか。実際、これで予防効果があるかどうかですが、皆さんはどんな印象を持っておられますか。総論として間違いではないにしても、実戦的手段としては私は疑問を感じています。風邪をひいては困る忙しいときに、予防効果があるかどうかです。

 さて、冬季になり空気が乾燥してきますと、私は毎年のように皮膚掻痒症(そうようしょう)と咽頭痛(いんとうつう)に悩まされます。皮膚がカサカサするかゆみは保湿剤のアロエクリームを塗ることでほぼ悩みは解決しました。咽頭痛はホテルに泊まった翌朝、唾を飲み込んだとき痛いことがありますが、あれです。明らかに部屋の乾燥が原因です。室内加湿器も試しましたが、部屋が黴(か)びてしまい、衣類が駄目になるというので家内からストップがかかってしまいました。

 こんな事情で2年前、久しぶりに風邪をひいてしまいました。風邪も峠を越し、咳がとまったように思っていても空気が乾燥している電車の中などで急にでてきます。そこであわててマスクをしますと、咳がとまるのを経験しました。つまり、咳が出て周囲に迷惑をかけないためにマスクをするのではなく、咳が出ないようにするためにマスクをするのです。(つづく)

2005年01月25日 : 17:45 | コメント (0) | トラックバック

体験的マスクの効用(1)

 風邪は誰でも年に2~3回は引いているものです。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たん、発熱、頭痛、全身のだるさなどの症状が組み合わされて起こりますが、さまざまなウイルスの感染によって引き起こされます。
 俗に「風邪は万病のもと」といわれます。さまざまな病気が出やすくなるので軽く考えるなというのが一般的な解釈だと思います。一方、風邪は疲れているときに引きやすく、身体が「休ませてほしい」と言っているともいえます。この警告を無視し続けると、大きな病気になりかねない。ライフスタイルを見直すべきであるとする別の解釈も可能だと私は考えています。
 他の人と比較して風邪をひきやすいというのは自分のライフスタイルに問題があるともいえます。人間はもともとバイ菌と闘う免疫力を持っています。ところが不規則な生活やストレス、栄養の偏りなどにより抵抗力が弱まってくると、風邪をひきやすくなるのです。風邪は、体力の低下を伝える警告でもあるのです。
 一方、風邪の主な原因はウイルスの感染ですから、ウイルスに対する対策も必要です。部屋を適度に温め、加湿器ややかんなどで湿度を保つ。外から帰ってきたら手を洗い、うがいをする。寒い日の外出はマスクをして、のどや鼻の粘膜を守る。マスクはウイルスの侵入をブロックする効果はありませんが、保湿と保温により喉と気管を守りウイルス感染を防ぐ効果があります。(つづく)

2005年01月23日 : 17:45 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(8)おわりに

私自身、これまで“病気の問屋”のようにいろいろな病気になっています。腰痛症(ぎっくり腰)、円形脱毛症、尿路結石、急性前立腺炎、前立腺肥大、ヘルペス(帯状疱疹)、痔核、大きなほくろ、胃のポリープなど、思いつくままに挙げても、これだけあります。しかし、入院したのは尿路結石の一日だけです。

私は天理よろづ相談所病院を定年で退職しましてから4年になりますが、今も毎朝、3~4時に目覚めとともに起き、毎日忙しくしています。といっても再就職したわけではありません。天理病院に週1回非常勤医師として勤めている以外は、基本的にボランティアとしていろいろやっています。やりたいことがあって楽しい。朝の目覚めが爽やか。これだけで私自身は「健康」であると考えています。

健康は一人ひとり違います。健康かどうかは身体の状態だけでは決められません。周りとの人間関係を中心とする精神状態が大きく左右します。仕事がはかどらないなどのストレスがあれば当然、体調に影響します。こうしたことは、自分にしか分からないものです。

あなたが「自分は健康だ」と考える、ふだんの心身の状態を把握しておき、体調に変化があってもすぐに病院に駆けつけないことです。まず自分で判断し、大したことはないと思えば様子を見る。原因として思い当たることがあれば取り除く。それでも変わらないときや、「いつもと違う。ただ事ではない」とピンとくるものがあれば、病院で受診するのです。本人にしか分からない“気づき”といっていいと思いますが、これを大事にするのです。こうした生き方ができれば、「健康になりたいという強迫観念」にとらわれず、伸び伸びと、しなやかに自分自身の人生をエンジョイできることを、私自身の体験から保証します。 

天理よろづ相談所病院 元副院長
今中 孝信

2005年01月18日 : 12:05 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(7)

 「医者の上手なかかり方」といった本も出ていますが、これまで述べてきましたことを踏まえ、私の考える「賢い患者になるために基本となること」をあげますと、次のようになります。

・自分が考える健康論を持つようにする。それに基づいて、自分にできることを毎日実践 する。
・病気にも効用があることを知る。
・どんな病気でも治るわけではないことをみとめる。自分のライフスタイルと関係が深い 生活習慣病は分身と考え、上手につきあっていく。
・病気の側からだけでなく、病人の側からどうすればいいか考えてくれる信頼できる「か かりつけ医」を持つように努力する。
・いきなり病院で受診せず、まず「かかりつけ医」で受診し相談する。
・受診するときは、受診する主な目的(主訴)を明らかにし、病気になってからの経過を 時間を追って書いた病歴を作成する。
・心配なこと、医者に聞きたいことを整理しておく。
・医者の前に出ると言いたいことが言えない人は、親しい人に付き添ってもらう。
(つづく)

2005年01月17日 : 12:03 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(6)老いを受け容れる

高齢者の年齢に見合った動脈硬化や機能低下は生理的なものであり、必ずしも病気とはいえません。怖れられているガンにしても老化現象の一つとして現れる面もあります。老人ホームで「老衰死」した人を解剖して調べますと、3人に1人はガンだったというデータもあります。

卑近な例では、高齢者は餅を喉に詰まらせて死ぬことがあります。これも、事故のみとはいえません。もともと高齢者はものを飲み込むとき、食道と気管の交通整理がうまくいかず、唾液を気管に吸い込んで嚥下性肺炎になることも少なくないのです。

意外に思われるかもしれませんが、高齢者は入院することが病気の原因になりうるのです。もともと元気な高齢者が健康診断でガンが見つかり手術のために入院したとします。手術が成功し元気に退院するまでには、少なくとも次の5つの“障碍物”を乗り越えなければなりません。

 1) 環境の変化によってボケたようになることがある。
 2) 安静によって使わないところがあっというまに衰える。
 3) 脱水によって血栓ができやすくなる。
 4) 手術前の検査で腎臓を悪くすることがある。
 5) 麻酔や手術が負担になり、手術後の回復も壮年とは違う。

老いの速度は個人によって異なりますが、誰でも老いを避けられないことを自覚すれば、老いを無視した無理な健康志向にならずにすみます。実際にどう生きればいいのか。それには細かすぎる健康情報よりも「健康な老人の生きかた」を知ることが役に立ちますが、次の資料が参考になります。

国民健康保険中央会が、活動的で自立した生活をしている80歳~85歳の健康老人3159名に聞き取り調査をした結果、次のような特徴を認めました(辻一郎『のばそう健康寿命』岩波アクティブ新書2004)。

食事は1日3回規則正しくよく噛んで食べる。食物繊維をよくとる。お茶をよく飲む。たばこを吸わない。かかりつけ医を持って定期的に健診を受けている。自立心が強く、人生に前向きで肯定的。気分転換をしている。新聞をよく読む。テレビをよく見る。外出することが多い。よく歩く。就寝・起床時間が規則的。

7割は治療中の病気がある。86%は自分自身のことを健康だと思っている。77%が生きがいを感じている。79%が経済的に満足している。81%が精神的に満足している。交友関係も豊富。過半数は何でも相談できる友達がいる。7割が元気づけてあげている人がいる。地域活動・ボランティア活動に参加している。

教育の分野ではロールモデル(role model)が重要といわれていますが、高齢者の健康についても、これらの健康老人は生きたお手本になります。
(つづく)

2005年01月16日 : 12:00 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(5)病気の効用を知る

私たちは誰でも病気になりたくないと考えています。特にバイキンに対して恐怖心を持っていますから、抗菌グッズが売れに売れているのです。ところが、健康に生きるためには、バイキンと仲良くしなければなりません。バイキンと共存することによって身体は強くなり、重い病気にかからなくてすむのです。

例えば、風邪はありふれたウイルス感染による病気です。インフルエンザは別にして、風邪を引くのは疲れていたり気落ちしているときが多いものです。これは免疫の力が落ちているためです。また、風邪にかかってしまった場合、病院で受診し薬を飲まれることが多いと思いますが、実は薬を飲んで熱とか咳を軽くすることはできますが早く治すことはできません。風邪は免疫(白血球)の働きで5~7日すれば治ります。治らない場合は、合併症を起こしている可能性があります。要するに、風邪の治療は休養が一番であり、休養することによって体力を回復することができるのです。ところが、風邪くらいと頑張りすぎますと、「万病の元」になるおそれがあります。

また、たくさんの方が苦しんでおられるアトピーとか花粉症などのアレルギーの病気と、バイキンの感染と関係があることがわかってきています。子どものときにバイキンを多く食べておくほうがアレルギーが少ないのです。昔はほとんどの子どもは青ばなを出していました。これは副鼻腔炎(蓄膿、ちくのう)にかかっていたためですが、当時は花粉症など皆無でした。

感染に対する免疫はバイキンをやっつける望ましい反応ですが、異物に対するアレルギーは望ましくない過剰な反応です。ところが身体の仕組みからいえば同じ反応なのです。そのため感染を繰り返しますと、免疫組織が相手をみて適度に反応することを学習するのです。これが感染によってアレルギーが少なくなる理由です。したがって、バイキンが一概に悪いとはいえず、常に清潔であることは子どもにとって仇(あだ)となるのです。

最近はストレスが原因の病気が増えていますが、ストレスが身体の病気となって現れる心身症もそうです。作家の夏樹静子さんの腰痛体験記が話題になっていますが、心身症はいろいろな病気の原因になります。無理な生き方に対する身体の警報と受け取り、生き方をかえることができれば全快し、そのままの生活を続ければなったかもしれない大きな病気を免れることにもなります。このように、病気は悪いことばかりでなく、いろいろな効用があることを知る必要があります。
(つづく)

2005年01月15日 : 11:58 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(4)「健康になりたい病気」にかからない

 「健康になりたい病気」とは、いろいろな健康情報に振り回され、かえって健康を損なっている人のことをいいます。例えば、この病気にかかると、コレステロールの値が少し高くても非常に気にします。コレステロールが高いと良くないというのは心筋梗塞が多いアメリカでの話なのですが、なにがなんでも“正常値”にしようとがんばります。

 コレステロールはそんなに悪いものでしょうか。実は、コレステロールは細胞膜の大事な成分であり、各種ホルモンの材料でもあるのです。栄養状態を反映し、栄養が悪いと結核や肺炎などの感染に弱くなることは先に述べた通りです。この観点からしますと、高いから悪いとは必ずしもいえません。はたして、ある研究によりますと、コレステロールを200mg以上と以下に分け、寿命を比べてみると高いグループのほうが長生きであることが分かりました。

 また、「フィンランド症候群」という報告があります。フィンランド保健局が40歳から45歳の上級管理職600人を選び、15年間にわたって定期健診や栄養チェックをし、適度な運動をさせ、タバコ・アルコール・砂糖の摂取を抑制させました。一方で、同じ職種の別の600人には目的を一切知らせず、健康調査票に記入してもらいました。結果は、心臓血管系の病気、高血圧、死亡、自殺ともに、健康管理をしたグループの方が多かったのです。

「健康になりたい病気」の人が気をつけなければならないのは健康診断の結果です。健康診断では、検査結果が正常範囲より少しでもはずれると、異常ないし病気と診断しますが、正常値をどうして決めているのでしょうか。健康と思われる人について検査し、極端に値が低かったり高かったりする5%を除いた95%の人の値を“正常値”と仮に決めているのです。したがって、検査結果が異常であればすぐに病気ということにならず、場合によっては健康診断が病気づくりになっている面があります。

健康診断の結果を有効に活用するには、自分自身の正常値を知ることです。これは、毎年受けている検査データを並べれば分かります。毎年、同じ値であれば、集団の正常値から少しくらい外れていても心配ありません。正常範囲にあっても毎年の値と違っていれば異常と判断します。この場合は、精密検査が必要です。

これらのことは、断片的な健康情報に振り回されていれば“勘定合って銭足らず”になるおそれがあることを示しています。人間は一人ひとり違いますが、健康についても同じことがいえます。身体面だけでなく、精神心理面、社会面を含め、総合的にとらえる必要があります。健康かどうかを検査結果だけで判断するのは間違っています。自分のしたいことができれば健康なのです。逆に、やりたいことがないのは不健康といえます。健康度は朝起きるときの状態や顔つきでも簡単に判断できます。
(つづく)

2005年01月14日 : 11:55 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(3)医療の限界を知る

医学の進歩には目覚ましいものがありますが、それがそのまま人間の長寿には結びつきません。専門診療は科学に裏付けられていますが、臓器の病気を中心に人間を部分的、分析的にとらえ研究しています。いわば、人間を虫眼鏡で見ているようなものだからです。

例えば、我が国の国民病であった肺結核が減った理由は、ストマイやパスなど結核の薬によるものと考えられていますが、それだけではありません。感染症は栄養状態の善し悪しと大いに関係します。実は結核の薬が使われる以前、日本の経済状態が良くなってきた時期から、すでに結核は減少カーブを描いていたのです。現在でも世界を見渡せば、貧しい国では肺結核が問題ですし、平均寿命も40歳台なのです。日本人の平均寿命が延びた理由も、誰でも医療を受けられる医療制度の充実だけではなく、50年以上にわたり平和が続いていること、栄養が改善したこと、衛生状態がよいことなどが重なってのことだと私は考えています。

ちなみに、世界中の医師が読んでいる医学雑誌「New England Journal of Medicine」の名編集長として有名なインゲルフィンガー氏は、1977年に病気の治療に果たす医療の役割を分析し、医療によってよくなる病気が11パーセント、医療によって悪くなる病気が9パーセント、残りの80パーセントは医療によって変わらないとしています。

こういうショッキングな論文が出ますと、いろんな分野で大きな影響が出ます。普通は反論が出るものです。結論の導き方がおかしいとか、その根拠としているデータがおかしいとか、分析の仕方を変えたら別の解釈もできるとか、いろんなクレームが出てもおかしくありません。追試といいまして、別の人が同じ方法でやり直してみることもあります。ところが、氏の論文が発表されてから現在に至るまで、論文に欠陥があったという論文は出ていないのです。

むしろ、これを支持するデータがアメリカ政府から発表されています。そもそも、病気の治療をするのは病気があると長生きできないという考えに基づいています。薬を飲むことによって病気がどれだけ減ったということよりも、どれだけ生きられたかということが大事なことです。別の言い方をすれば、亡くなる原因に病気がどれだけ関係しているかです。

アメリカ政府の死因に関する発表によりますと、医療システムの問題で亡くなっているのが10%、生まれつきの遺伝的な問題が死因にかかわっているのが20%、環境問題に原因があるのが20%、残る50%は生活習慣病です。これは個々人の生き方の問題です。だれの責任でもありません。自分が種をまき、長い年限にわたって育ててきた病気です。分身ともいえるものですから根本的な治療法はありません。

このようにみてきますと、科学としての医学が皆さんから非常に頼りにされ、そのうち医学の進歩によって不老長寿が実現されると期待する人もありますが、夢物語であることを理解していただけるのではないでしょうか。最近は遺伝子によって寿命が決まっていて、遺伝子を操作すればいくらでも生きられるというバカな学者がいますがとんでもない話です。寿命というのは、遺伝子だけでなく、個人の生き方、栄養状態、環境、ストレス等の総和で決まると私は考えています。
(つづく)

2005年01月13日 : 11:52 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(2)医療に危険はつきものであることを知る

 毎日、医療事故や訴訟の記事が新聞に載らない日はないくらいですが、それが本当に恐ろしい形であらわれてきたのが慈恵医大の青戸病院における手術ミス事件です。前立腺がんの患者さんに内視鏡手術を行い、大量出血で死に至らせたドクター3人は逮捕されました。皆さんもショックだったと思いますけれども、私たち医者もすごくショックを受けました。十分な経験もないのに自分たちだけでやってみたいからやったということが許されるはずがありません。

 医師の臨床研修については「see one, do one, teach one」ということが基本とされています。最初は先輩医師が行うのを見学し、次に実際にやらせてもらい、最後は後輩医師に教える、そしてはじめて身に付くということです。今回の慈恵医大のケースは1人の医師が少しは経験があったようですけれども、あと2人は全然経験のない医者でした。この3人で手術をするなどというのは普通の神経であれば怖くてできないことです。

これは大学病院に課せられている研究や先端医療の宿命というものではありません。今やこういうおかしな人間が医者になっている一つの証明といえます。頭だけはいいのですが、人を助ける仕事につきたいという気持ちのない人が医者になっているのです。

 医療事故の多さについては慈恵医大にかぎりません。厚生労働省が平成12年から14年にかけて、約2年間にわたって、大学付属病院が80、国立がんセンター、国立循環器病センター、あわせて82の病院について医療事故に関する調査をしました。結果は、驚かれるでしょうが1万5千件もありました。しかも、このうち387件は抗がん剤の誤まった投与や手術時に器具やガーゼを体内に置き忘れるなど重大な事故だったのです。

 これらの病院は我が国を代表する病院です。優秀なスタッフが揃い、いくら気をつけていても人間である以上ミスは起こります。医療というのは安全でなものと信じておられたら間違いです。それはオーバーな話ではないかと言われるかもしれませんが、皆さんの知らないところでミスが起こっているのです。ミスを起こしたら、ミスを取り返そうと思って医師やスタッフは必死に頑張ります。そして事なきを得れば表に出ないのです。

 トップレベルの病院ですらこれですから、どこで診てもらうにしても「医療そのものが危険性を持つものである」ことを覚悟して医療を受ける必要があります。外科はメスを使うので怖いけれど、内科は大丈夫ではないかと思われたら違います。内科は検査の事故がありますし、薬の副作用は大小数かぎりなくあります。

 このような事故に遭いたくなかったらどうすればいいのでしょうか。答えは安易に病院に行かないことです。病院で受診するはっきりした目的があり、病院は危険なところでもあることを納得したうえで行くことです。特に、高齢者はこのことがいえます。後で述べますように、高齢者は入院すること自体が病気の原因になりうるのです。極端ないい方をすれば、「ダメモト」で行けばいいのです。そうすれば、現代医学の恩恵に浴することも少なくないはずです。
(つづく)

2005年01月12日 : 11:49 | コメント (0) | トラックバック

賢い患者になるためのABC(1)はじめに

賢い患者になるためのABC
―医療事故にあわないためには病院に行かない―

天理よろづ相談所病院 元副院長
今中 孝信

(1)はじめに

我が国では現在、政治、経済、社会、教育、医療すべての分野において先の見えない不安な時代ではないかと思います。特に、医療については、医療事故が毎日のように報じられ、世界に誇ってきた医療保険制度の破綻が心配されています。

 しかしながら、右肩上がりの高度経済成長のもとで、国民が物カネでしか物事を考えられなくなってしまったことにその原因があると私は考えています。医療は本来、手当という言葉がありますように、人が人の世話をするものであり、お互いの心が何よりも大切です。その意味で、現在の状況は医療について改めて考えるよい機会ではないでしょうか。

 私は天理よろづ相談所病院において25年間にわたり、人間をまるごと診る総合診療に携わってきました。その立場からしますと、医療に対する考え方、毎日の生活のしかたを少し変えるだけで、健康・病気・老いに対する不安は軽くなり、おおらかに、のびのびと自分自身の人生を楽しむことができるのです。
(つづく)

2005年01月11日 : 11:31 | コメント (0) | トラックバック